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『ニワ』
古来、日本の建築空間は外部空間と分かちがたく結びついていた。
外部空間は建築空間の剰余ではなく、
建築空間と等価なものとして扱われ、時にはそれ以上の重みを付与されることもある。
ここでは、そのような外部空間をニワと呼ぶことにしよう。
歴史的にニワと建築空間の関係性は変化している。寝殿造り、書院造り、数寄屋、そして茶室。
それぞれの建築空間とニワは一体となって時代性を表徴してきた。
狭小な敷地に建てられることの多い現代日本の居住環境では、かつての日本庭園のような
あり方は難しくなってきている。しかしながら、京都の伝統的町屋は高密度な都市居住においても
豊かな外部環境を建築に取り入れうることを我々に教えてくれる。
ニワは敷地の中だけにとどまらず、借景など周辺環境をもとりこんだ非常に射程の長い概念である。
これは、住環境を都市景観や地球環境などより広い領域へと接続させる可能性を秘めている。
現代における『ニワ』と居住空間のありかたを提案してほしい。
文:審査委員長 清水裕二
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