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2018年 第35回JIA東海支部設計競技  応募受付中
 
 ・2018/07/18   2次公開審査・表彰式・記念講演会の日程が変更になりました。
                  変更前:平成30年12月1日(土)
               ☆ 変更後:平成30年12月8日(土)
 
 第35回 課題 『<帝国>と向きあうわたしの住まい


21世紀に入ったあたりから、都市部にはかつてなかった巨大なビル群が建ち並び始めます。郊外では、空き家だらけの住宅事情の中にあってもなお、住宅はあっという間の早さで建ちあがり大量に供給されていきます。
その動きに並走するかのように、改正省エネ法(*1)や、種子法廃止(*2)など生活に密着した重要な法案も、さほど議論もされないまま次々に決められていきます。

それらは共同体からも、民主主義的論理からも、あるいは技術的進歩からも説明のつかないチカラで後押しされているようにみえます。そのチカラの源は現代の<帝国>(*3)のルールとも呼ぶべきものかもしれません。

では、建設現場はどうでしょう。住まいにとって重要な、浴室や台所といった水廻り、窓や建具といった部分は、それらがそもそもどういった役わりや意味を持っているかには無頓着なまま、数値的優位性や施工の簡便性のみを謳い、パッケージ化された形で供給されていきます。その一方で、それまで地域の住宅建設を担っていた小規模工務店は力を失い、頑固な職人は居場所がなくなりつつあります。そして、準備されたパッケージをこだわりなく使いこなす従順な職人が重宝されるようになりました。

私たちそれぞれの暮らしの中にあっても、落ち葉焚きのようなささやかながら融通無碍であった日常も姿を消しました。

こうした個々の事象もまた<帝国>と無縁ではなさそうです。

どうやら<帝国>は私たちの日常の隅々まで入り込んでいるようです。と同時に私たち一人一人は既に<帝国>の住人でもあるのです。無理に抵抗しようとすると、なんとも自家中毒に陥りそうな状況のなかで私たちは生きています。

<帝国>が民主的、平和的ルールのなかで存在するのであれば、その潮流に乗って口笛を吹いて生きて行くことは可能でしょうか?事態はそれほど楽観的ではないように思われます。<帝国>は、私たち個々を分断し階層序列化し協働を事前に阻止する仕組みを内包しています。

<帝国>で暮らしていく私たちにはどういった振る舞いが可能なのでしょうか?
ここではその住まいについて共に考えてみたいと思います。

かたちに過剰な期待をして概念的な空間操作に終始する、あるいはアイデアを滑走させるだけでは、その潮流を突き抜けて、その先に新たな可能性は見出せそうにありません。

どこで、だれと、何を使って、何に思いを馳せながら、どんなタイムスパンで、何を実現するために、どういったアプローチで、といったかたちを成立させるための背景を再構築する中で、改めて住まうということを掘り下げていく必要があるのかもしれません。

文:佐々木 敏彦(審査員長)


(*1)改正省エネ法(建築物省エネ法)
 温暖化ガス対策としての目標値を各部門に割り振り法律として政策介入するもの。建設分野においては建築物省エネ法となる。数年後をめどに、小規模な住宅にも導入され、人々の暮らしが政策干渉されることになる。日本全体の温暖化ガス排出量に占める住宅建築要因の比率は極めて小さいというデータがあるにもかかわらず、長い歴史の中で蓄積されてきたすまいの文化・知恵(たとえば風土に立脚した夏涼しく冬温かいといった建築的工夫や、土間や縁側といった近隣に開かれていた重要な場所はエネルギー措置が著しく不十分なつくりということになり容認されなくなる可能性大)といったものはエネルギーのみの視点で切り捨てられる。要は魔法瓶のような外部から遮断された高気密高断熱住宅をつくるべしという法律。また多様で各々独自の住まいがつくられると、当然それをチェックするための行政コストも膨大になるため、結果として大企業に拠る建物一棟丸ごとのパッケージ化が進むことになると予想される。

(*2)種子法廃止
 戦後の日本で、コメや大豆、麦などの種子の安定供給を国の責任で支えてきた法律。この法律が突如廃止(2018年4月)された。国は「国が管理する仕組みが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しているが、結果として公共の資産であった遺伝資源が企業に囲い込まれ、民間多国籍企業による種子の私有化が進むことが懸念されている。

(*3)政治運動家で哲学者のアントニオ・ネグリとマイケル・ハートは、<帝国>を以下のように説明している。
・経済のグローバル化とIT化を基礎とした「超国家的な組織体」や「ネットワーク的権力」で、物質のみならず民衆の
 精神生活まで、まるごとの支配をする「グローバルな主権」のこと。
・それはかつての国民国家の枠組みで捉えた<帝国主義>とは違い、<帝国>には中心がなく、
 領土的概念もない支配装置である。
・<帝国>的管理は私たち個々を分断し、差異を階層序列化し、協働をあらかじめに阻止する機能を内包している。
・厄介なことに、それは表面的には民主的、平和的ルールを装っている。



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