『光と風』
住まいを考える時、光と風がもたらす現象は、空間にとって大切な要素である。
光と風をイメージした時、心地良い種類の光と風とそうでない場合がある。 それは多くの自然現象に言えることだが、その地域の持つ特性や気候、風土を無視して快適で安らぎのある住空間は成立しない。
光は闇によって生かされ、光が無ければ空間は認識できない。
自然の光であれ、人工の光であれ、光こそが空間に生命をもたらす。
風は空気の流れによって生まれ、空間に心地良さを与える。
空間は光と風の織り成す調和によって生かされ、生命と安らぎを与える。
本来これらをコントロールする事により空間の快適性を求めてきたはずだが、
その原理原則を逸脱した空間表現が多く見られる今、
もう一度、光と風の持つ可能性を新しい価値観で問い直し、生命と安らぎの有る住空間の提案を求める。
文:道家秀男(審査委員長)
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