第23回JIA東海支部建築設計競技

『雨』



『和の遺伝子を探る』

 日本建築家協会東海支部の主催する「建築設計競技」は、今年で23回を数えます。

この22年間に生まれた多数の受賞者が今、建築家として活躍する状況を迎えています。  

 最初の10年間は、「住まいのソーシャルプランニングを探る」というテーマのもとに、住宅の抱える社会的な問題にどう応えるかという提案を求めました。続く5年間は、「素材」をテーマとし、その新たな使い方に着目しつつ、街の有り方をより豊かにする手立ての提案を求めました。さらに次の5年間は、「場(あるいは場所性)」にスポットをあて、地域の固有性に着目して、その場所の活性化のシナリオを追求しました。

テーマの底に流れる思想は、街、あるいは住まいの空間のより豊かな有り方を求めるものでした。この間、様々な状況の変化(地球資源の有限性の顕在化や、情報伝達手段の革命的な発達等)がもたらされ、建築や建築を考える価値観に大きな変化が生じました。「豊かさ」の基準も変わりつつあると感じられます。

21回からは、そんな変化の只中にある「住まい」に着目し、「和の遺伝子を探る」というテーマのもとに真の豊かさのあり方を追求したいと考えています。我々が置き去りにしてきたものを今一度掘り起こして、明日の豊かさにつなげたいと考えます。

◎シリーズテーマ 『和の遺伝子を探る』 

住まいを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。ここ数年の社会状勢の変化は、都市化や過疎化といった人口バランスの変動を伴い、地域社会を喪失させ、住宅立地の環境にも様々な変化をもたらしました。少子高齢化の時代が到来し、地球資源の有限性が問題とされ、省エネルギー、サスティナビリティーが求められるようになりました。IT革命と呼ばれる情報伝達手段の発展は、生活のあり方をも変え、個人と個人の関係や個の位置づけにも変化が生じています。そんな中、通奏低音として流れる住まいへの要求は、「利便性や快適性」の追求でした。その矛先は、より解りやすいフィールド、例えば定量化しやすい温熱環境や音の問題、あるいは手間を省くための利便的な仕掛に強く向けられて来ました。

確かに、今日に至る進歩はそのような「利便性や快適性」への指向なしにはあり得ませんでした。しかし、我々はその過程で、かつて持っていた大切なものを見失い、あるいは手放してきたことも事実です。社会制度や風俗のみならず、建築や住まい等の文化的な側面にもそれは起こりました。様々な技術や工法、素材や設備手段の獲得は、膨大な選択肢をもたらし、我々にその選択の哲学を求めています。

 高温多湿な特有の風土を持ち、固有の生活文化を営んで来た我々日本人は、建築の分野においても独自の文化を育んで来ました。気候風土や周辺環境に対処するための空間的な制御の方法、素材の使い方、あるいは生活の作法等(これらを「和の遺伝子」と呼ぶことにします)を我々は手にしていました。「真の豊かさとは何か」を今問い直す時、この「和の遺伝子」を呼び起こし、現代の「住まい」の場に結び付けられないものか。                   

 和の空間が持っていた優れた思想を、様々な問題を抱える現代の「住まい」に再構築する提案を求めます。

第23回 課題

『雨』

豊かな四季があり、高温多湿な風土で生活を営んできた日本の人々は、自然との調和のなかで、繊細で豊かな感受性を育んできました。日本人にとって自然とは畏怖心を持って共存する対象であり、生活の営みの基盤であるとともに、心を育む土壌だったのです。

今回は、日本人独特の自然観、情緒、感性を育んだ風土の象徴として「雨」をテーマにしました。「愛雨」「慈雨」「雨花」という言葉から、愛でる気持ち、感謝の心や情緒が読み取れます。また、広重の浮世絵からは旅人や町人の心情が雨の表現に彷彿と感じられます。これらの多様な表現には、自然の微妙な変化や表情に対し自らの心象を重ね合わせた日本人の繊細な感性が読み取れます。

「雨」をキーワードに、日本の風土にふさわしく、日本人の感性を呼び覚ます住まいを提案してください。利便性、合理性を追及するあまり大切なものを見失いつつある日本の社会に向けたメッセージであることを期待します。


募 集 要 項

提出締切

2006年10月16日(月)17時まで
1.表現方法

@ 要求図面
・図面の大きさはA1判(594mm×840mm)とする。
 着色など、図面表現上の制約はない。各自の提案内容に沿って自由に提案すること。
 パネルなど巻けないものは不可とする。
・また、図面以外の電子データ、模型などは受付ない。
A 図面は縦使い、または横使いとし、1枚にまとめること。
B 使用する言語は日本語か英語とする。
C 図面には、氏名や暗号等目印となるものは記入しないこと。

2.応募資格

<学生の部> 大学、短大、高専、専修、専門学校、高校等の学生。
<一般の部> 応募資格についての制限はない。但し、大学院生の応募は<一般の部>として取り扱う。

3.応募方法

専用の申込用紙に必要事項を記入の上、図面とともに設計競技事務局に提出。
申込用紙は図面に貼り付けない。
申込用紙はJIA東海支部ホームページよりダウンロードできます)

4.応募締切

10月16日(月)17:00必着。(郵送などの場合も同じとする)

5.審査員

五十嵐淳 五十嵐淳建築設計
生津康広 建築設計室 アーキハウス
尾崎公俊 設計工房 蒼生舎
北川啓介 名古屋工業大学 助教授
笹野直之 牛野空間設計
豊田洋一 中部大学 助教授
向口武志 名古屋市立大学 助手
武藤  隆 武藤隆建築研究所
尾関和成 渠頗\紙店

(●印:ゲスト審査員 ◎印:特別審査員 ○:審査員長 )

6.表彰及び発表

@表彰
<学生の部> 金賞1点  賞状、記念品、賞金(20万円)
銀賞2点  賞状、記念品、賞金(10万円)
銅賞5点  賞状、記念品
<一般の部> 金賞1点  賞状、記念品、賞金(20万円)
銀賞2点  賞状、記念品、賞金(10万円)
銅賞3点  賞状、記念品
上記の他、両部門とも場合により特別賞を設けることがある。
A発表
入賞者には、11月中旬に郵送で各自に通知する。

入賞の発表は、主催団体のホームページ及び会誌、朝日新聞、新建築、日経ア−キテクチャ−建築ジャ−ナルなどで発表予定。

7.著作権

表彰作品の著作権は入賞者に属する。但し、主催団体がこの事業の趣旨にもとづいて、入賞作品を会誌に掲載、図書出版または展示のために用いる場合、入賞者はこの使用を無償で認めるものとする。

8.その他

@質疑応答は行わない。
A入賞作品及び最終選考に残った作品以外の作品で返却希望者には、審査結果公表後2週間以内であれば返却する。ただし、郵送はしない。


●「過去入賞作品展示会」のご案内
日 時: 2006年07月10日(月)〜07月15(土)
会 場: 愛知工業大学 本山キャンパス 1階ホール
       (名古屋市千種区東山通1-38-1 TEL:052-789-1381)
入場無料

●「表彰式・作品展示・講評会・記念講演会」のご案内

日 時: 2006年12月9日(土) 14:00〜(予定)
  作品展示        14:00〜
  表彰式・作品講評会 15:00〜
  記念講演会       16:30〜
場 所: 朝日ホール(朝日会館15階)
  名古屋市中区栄一丁目3番3号
  地下鉄伏見駅より徒歩5分
講 師: 五十嵐 淳 (建築家)

<プロフィール>

1970年 北海道生まれ
1990年 北海道中央工学院専門学校卒業
1996年 日本建築学会北海道建築奨励賞
1997年 五十嵐淳建築設計設立
2003年 第19回吉岡賞
2004年 大阪現代演劇祭仮設劇場コンペ最優秀賞
       日本建築家協会北海道支部住宅部会新人賞
       カナダグリーンデザイン賞最優秀賞
2005年 中之島新線駅企画デザインコンペ優秀賞
       JCD賞優秀賞
       グットデザイン賞
       "BARBARA CAPPOCHIN"ビエンナーレ国際建築賞 グランプリ受賞
2006年 American Wood Design Awards 2006/ Best of Residentialグランプリ受賞
現在、北海道工業大学非常勤講師

記念講演会申込方法:FAXかはがきまたはEメールで設計競技事務局に申し込む。
                @氏名、A所属、B住所(連絡先)を明記する。
定   員: 300名(申込先着順)
問合せ先: 計競技事務局


主催:社団法人日本建築家協会東海支部
後援:朝日新聞社・社団法人日本建築学会東海支部

設計競技事務局
〒460-0008 名古屋市中区栄4丁目3の26昭和ビル5階
(社)日本建築家協会東海支部内
TEL:052−263−4636 FAX:052−251−8495