
第21回JIA東海支部建築設計競技
『境界空間』
『和の遺伝子を探る』
日本建築家協会の主催する「建築設計競技」は、今年で21回を数えます。
この20年間に生まれた多数の受賞者が今、建築家として活躍する状況を迎えています。
最初の10年間は、「住まいのソーシャルプランニングを探る」というテーマのもとに、住宅の抱える社会的な問題にどう応えるかという提案を求めました。続く5年間は、「素材」をテーマとし、その新たな使い方に着目しつつ、街の有り方をより豊かにする手立ての提案を求めました。さらに次の5年間は、「場(あるいは場所性)」にスポットをあて、地域の固有性に着目して、その場所の活性化のシナリオを追求しました。
テーマの底に流れる思想は、街、あるいは住まいの空間のより豊かな有り方を求めるものでした。この間、様々な状況の変化(地球資源の有限性の顕在化や、情報伝達手段の革命的な発達等)がもたらされ、建築や建築を考える価値観に大きな変化が生じました。「豊かさ」の基準も変わりつつあると感じられます。新たなシリーズテーマでスタートする今回(21回目)は、そんな変化の只中にある「住まい」に着目し、「和の遺伝子を探る」というテーマのもとに真の豊かさのあり方を追求したいと考えています。我々が置き去りにしてきたものを今一度掘り起こして、明日の豊かさにつなげたいと考えます。
シリーズテーマ 『和の遺伝子を探る』
住まいを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。ここ数年の社会状勢の変化は、都市化や過疎化といった人口バランスの変動を伴い、地域社会を喪失させ、住宅立地の環境にも様々な変化をもたらしました。少子高齢化の時代が到来し、地球資源の有限性が問題とされ、省エネルギー、サスティナビリティーが求められるようになりました。IT革命と呼ばれる情報伝達手段の発展は、生活のあり方をも変え、個人と個人の関係や個の位置づけにも変化が生じています。そんな中、通奏低音として流れる住まいへの要求は、「利便性や快適性」の追求でした。その矛先は、より解りやすいフィールド、例えば定量化しやすい温熱環境や音の問題、あるいは手間を省くための利便的な仕掛に強く向けられて来ました。
確かに、今日に至る進歩はそのような「利便性や快適性」への指向なしにはあり得ませんでした。しかし、我々はその過程で、かつて持っていた大切なものを見失い、あるいは手放してきたことも事実です。社会制度や風俗のみならず、建築や住まい等の文化的な側面にもそれは起こりました。様々な技術や工法、素材や設備手段の獲得は、膨大な選択肢をもたらし、我々にその選択の哲学を求めています。
高温多湿な特有の風土を持ち、固有の生活文化を営んで来た我々日本人は、建築の分野においても独自の文化を育んで来ました。気候風土や周辺環境に対処するための空間的な制御の方法、素材の使い方、あるいは生活の作法等(これらを「和の遺伝子」と呼ぶことにします)を我々は手にしていました。「真の豊かさとは何か」を今問い直す時、この「和の遺伝子」を呼び起こし、現代の「住まい」の場に結び付けられないものでしょうか。
和の空間が持っていた優れた思想を、様々な問題を抱える現代の「住まい」に再構築する提案を求めます。『境界空間』
かつての日本家屋ではその気候風土から、軒を深く取り、濡れ縁を設けたりしながら内と外を柔らかく区切っていました。庭との間に生じた、内でも外でもなく感じられるその境界空間は、単に通風や採光のための開口部にとどまらず、人と人とのコミュニケーションの場であったり、くつろぎの場としても機能していました。
街道沿いの商家の店構えを構成する格子も境界領域を形成するエレメントと言えます。商いのスペースあるいは私のスペースが、いきなり外部である公道に面する場合の境界の有り方です。ここでは通風を犠牲にすることなく、僅かに採光を採りながら内部を緩やかに遮蔽しています。また、内からはスダレ効果により、明るい外部(往来)の気配を知ることが出来る境界空間を形成しています。
これらは、何れも内と外とを隔てる境界領域のデザインと言えます。
家の内部にあっても領域の境界を調整する様々な仕掛けがありました。襖や障子などの建具は室の繋がり具合を微妙にコントロールできるもので、フレキシブルな空間の利用を可能にしていました。
外部では、敷地と道路の境界(私と公の境界)の作り方に様々な工夫がなされ、街並みの有り方や表情を構成する重要な要素となっていました。和の空間にあっては、物理的な仕切を作らず、我々が持つ文化固有のサイン(象徴作用)で場あるいは領域を示すという方法も存在しました。
現在、生活は大きく変わり、多様化しました。現代の生活空間を見つめ直し、そこに有効な「境界空間」を取り込んで下さい。かつての精神(和の遺伝子)を生かすことにより成立する豊かな居住空間の提案を求めます。
@居住空間を含んだ提案とします。
A敷地や周辺環境は応募者が自由に設定するものとします。周辺環境をどのように読み解くか、どのような領域設定をしているかを解りやすく表現して下さい。
Bかつての住まいはエコロジカルな側面を持ち合わせていました。例えば
*深い庇による日差しの調整や外壁の保護
*通風を考慮した間取りや開口部の工夫
*母屋から水まわりを切り離す等のサスティナブルな配置
*自然(緑や水)を身近にとり込む 等々
単に過去の形を模倣するのでなく、
そこに息づく精神や考え方を取り込んで下さい。
C美しさも豊かであることの重要な要素です。
D現代の利便性、快適性の有り方をもう一度問い直してみて下さい。
募 集 要 項
提出締切
2004年10月12日(火)17時まで
1.表現方法
@ 要求図面
・設計意図・配置図・平面図・立面図・断面図・透視図または模型写真(いずれも表現任意)
上記の諸図を「標準」とするが、提案の内容によってはこれに従わなくてもよいこととする。また、図面以外の電子データ、模型などは受付けない。A 図面の大きさはA1版(594o×840o)1枚(縦・横は自由)とする。
着色など、図面表現上の制約はない。パネルなど巻けないものは不可とする。B 使用する言語は日本語か英語とする。 C 図面には、氏名や暗号等目印となるものは記入しないこと。 2.応募資格
<学生の部> 大学、短大、高専、専修・専門学校、高校等の学生。 <一般の部> 応募資格についての制限はない。但し、大学院生の応募は<一般の部>として扱う。 3.応募方法
専用の申し込み用紙に必要事項を記入の上、図面とともに設計競技事務局に提出。
>>申し込み用紙(PDF)4.応募締切
10月12日(火)17時必着。ただし、郵便局の当日消印のあるものは有効。 5.審査員
● 竹原 義二(無有建築工房・大阪市立大学生活科学部教授) ◎ 尾崎 公俊(設計工房蒼生舎) 谷口 元(名古屋大学教授) 増田千次郎(増田千次郎建築事務所) 竹山 明英(竹山明英建築研究所) 久保田英之(久保田英之建築研究所) 鈴木 賢一(名古屋市立大学教授) (◎印:審査委員長 ●印:ゲスト審査員 ) 6.表彰及び発表
7.著作権
@表彰 <学生の部> 金賞1点 賞状、記念品、賞金(20万円)
銀賞2点 賞状、記念品、賞金(10万円)
銅賞5点 賞状、記念品<一般の部> 金賞1点 賞状、記念品、賞金(20万円)
銀賞2点 賞状、記念品、賞金(10万円)
銅賞3点 賞状、記念品上記の他、両部門とも場合により特別賞を設けることがある。 A発表 11月1日(月)ホームページにて発表。入賞者には、11月中旬に郵送で各自に通知する。
入賞の発表は、主催団体の会誌、朝日新聞、建築ジャ−ナル、雑誌C&Dでの発表の他、新建築、日経ア−キテクチャ−等で発表予定。
表彰作品の著作権は入賞者に属する。但し、主催団体がこの事業の趣旨にもとづいて、入賞作品を会誌に掲載、図書出版または展示のために用いる場合、入賞者はこの使用を無償で認めるものとする。
8.その他
・質疑応答は行わない。
・入賞作品及び最終選考に残った作品以外の作品で返却希望者には、審査結果公表後2週間以内であれば返却する。
郵送はしない。
●「表彰式・作品展示・講評会・記念講演会」のご案内
日時: 2004年12月 4日(土)14:00〜(予定)
作品展示 14:00〜
表彰式・作品講評会 15:00〜
講演会 16:30〜場所: 朝日ホール(朝日会館15階)
名古屋市中区栄一丁目3番3号
地下鉄伏見駅より徒歩5分
講師: 竹原義二(建築家)
<プロフィール>
1948年 徳島県に生まれる。
1971年 大阪工業大学短期大学建築学科卒業。
大阪市立大学富樫研究室を経て、石井 修/美建・設計事務所勤務
1978年 無有建築工房設立。
2000年 大阪市立大学生活科学部教授。
記念講演会申込方法:
FAXかはがきで設計競技事務局に申込む。
@氏名、A所属、B住所(連絡先)を明記する。複数の申込も可とする。
定員:300名(申込先着順)。
問い合わせ先:設計競技事務局
主催:社団法人日本建築家協会東海支部
後援:朝日新聞社・社団法人日本建築学会東海支部
−設計競技事務局−
〒460-0008 名古屋市中区栄4丁目3の26昭和ビル5階
(社)日本建築家協会東海支部内
TEL:052−263−4636 FAX:052−251−8495