Jプロフェッショナルセミナー愛知 2011 -建築家実務講座-
「構造」 シーズン1 第4回

「総合的なデザインにとっての鉄筋コンクリート構造計画と設計」

講師:小西立行氏(㈱青島設計)


(高嶋繁男/黒川建築事務所)
 10月20日(木)に総合資格学院名古屋校にて開催した。参加者は39名(JIA14名、士会9名、事務所所員13名、JSCA2名、学生1名)であった。テキストは、○今回のセミナー独自のテキスト28頁、○ JSCA構造設計実務者研修「基礎編」第Ⅲ編 耐震設計の基礎知識:26頁、○第Ⅳ編 RC造の設計:60頁 第Ⅷ編 構造設計における工夫の実例:82頁と、見ごたえのある内容だった。
 まず、最近のRC造の設計基準の細かな変更がいろいろある点などに触れられた。
 次に、主にRC造による美しい建物の実例を構造の見地から紹介された。S造で考えれば良いものを重厚性のある意匠にしたいがためにRC造との混構造にしたビル。定型化された構造形式を避け、独自のイメージを実現するために、フラットスラブ構造と鉄棒鋼によって構成されたビル。トラス構造を踏まえたRCの床板のみのスロープ。「木質構造と違ってRC構造なら分かっている」という思い込みを多くの実例を通して解いていただいた。
 やはり、意匠設計者は、構造設計者とコミュニケーションできる言語(知識)をしっかり身につけ、イメージを正確に伝えられる工夫と柔軟性を常に心掛ける必要があると感じた。
 結局、数式のない構造セミナーで、最後に意匠設計者にとって参考になる構造の書籍などの紹介もしていただいた。
 小西立行氏は、本セミナーの第1、2回に参加され、第4回の準備に随分時間を割いていただいた。素晴らしいセミナーになり、大変感謝しております。
講師の小西立行氏 会場の様子
〈参加者の声〉
●今回で3回目となりましたが、個人的には、今回のセミナーが一番面白かったです。紹介されるRC造の建築作品を見ていく中で、RCは物質としては重々しいけれども、見せ方によって軽やかさやしなやかさも表現できるということを改めて実感し、またそうするためには、建物に働く力を操作する能力を持っていなければならないと感じました。構造とデザインのバランスのとれた建物の設計を目指していきたいと思います。(森 美欧/中建設計)
●今回の講座ではフラットスラブ構造など、実例写真を交えて紹介していただき、大変分かりやすく楽しませていただきました。特に洗足の連結住棟の紹介では、連結独立耐震壁構造という構造を分かりやすく説明していただいて大変興味を持ちました。
 構造の自由な可能性を感じ、今後の実務に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。(増田陽介/東海・ビルド一級建築士事務所)
●博物館や学校建築、さらにはF・L・ライトの落水荘などを事例に、デザイン性と構造計画のバランス、その可能性を「冗長性」というキーワードで講義いただいた部分がとても興味深かったです。普段の設計業務で携わるほとんどがRC造なのですが、今回の講習会もとても新鮮で有意義な講義となりました。(奥山拓人/野口建築事務所)