理 事 会 レ ポ ー ト  東海支部長 服部 滋
2月16日13時より、近畿支部のある大阪・綿業会館の会議室で開催された。当初2月はweb会議の予定であったが、出江会長の年度方針伝達および協議のため、4月予定の会議と入れ替えて集合会議となった。北陸支部長(代理出席有り)はじめ4名の方が欠席、八木監事が久しぶりに出席された。議事は審議、報告、協議の順に行われた。
〔審議事項〕
1.入退会者承認の件
入会11名、退会10名を承認(東海支部関係は0)
2.後援・協賛名義承認の件 6件承認
3.本部委員会委員の委嘱・解嘱 5件承認
〔報告事項〕
1.懲戒処分の機関紙公告の件
徳岡会員の懲戒の公表は、「建築家」の次号に掲載との報告があった。
2.2008年度決算見込
通常収入は会費の500万円の減(当年度分150万円、過年度分350万円)をはじめ、機関誌広告の200万円減、保険料積立金、義援金収入などの減で1000万円減。広告収入の減(当初予定は500万円の収入)は、委託先の報告を受けるだけで対策を講じていないとのこと。
支出は、人件費の300万円増、委員会など会合費が200万円増、支部運営費は会費収入の40%で200万円減、理事会費用150万円増などがあった。しかし、ベルコリーヌの追加委託があったので、全体としては、わずかな赤字決算ですむ見込み。
ただし、JOBへの運転資金貸し付けの返済不能の可能性大など予断を許さない状況。
3.滞納会員資格喪失措置の件
1/13の督促によって48名となった(東海は2名)。督促に対し、納入意志を示した人のうち11名は72,000円以上の滞納(東海は0)、そのうち20万円を超える人が5名いる。督促に反応がなく資格喪失候補になっている方のほとんどが今年を入れて3年滞納(10800円)なのに比べると不公平感は否めない。同一の基準を適用すべきであるとの意見を出した。2 /20過ぎに再度督促を行う。
4.その他事務局連絡事項
支部長会議の旅費の支払い方法について
3月から次期理事予定者の理事会へのオブザーバー招聘をすること。
名誉会員、終身会員の推薦依頼。
各支部総会日程の公表。
〔協議事項〕
1.JIA財政支援金返却の件
2005年度に会員などから借り入れた運営資金を期限が来たので返済する。当初2年ぐらいはキャッシュフローが足らないときに活用。最近は利用していないとのこと。
2.会費規定改定の件
10月の臨時総会で支部追加運営費を決める際に、毎年総会決議が必要にならないように、会費規定を変更する案件。細かい文言の変更の指摘があった程度で協議終了。次回審議。
3.出江会長2009年度方針(下方参照)
この日大阪に集まった中心議題。出江会長から熱のこもった説明をいただいたあと、別議題の2件をのぞいて、関係委員会の委員長より追加説明があり、質疑に移った。主な意見。
@設計業務関係改善について 
Q:公正取引委員会に提訴はあるが、協議とは?
A:わからないことを質していく。
低額発注根絶はわかるが、仲間を査問して排除していくような運動ではなく、原因を追及し問題が再発しないよう訴えかけるべきである。
A建築基本法について
国交省は、士法改正後の対応に追われており、動く方向にない。だから、議員立法を考えねばならないが、議員立法をはかるには建築5会のみでなく、韓国同様、都市計画分野や土木分野も含めたかなりの団体の同意を得なければ理念法は難しい。
地域の個性や素材を活かしたまちづくり、建築をめざす。
B財政改革について
IT、OA化のためのソフトのバージョンアップが、厳しい財政の中で本当に必要か再検討を。IT化する前に、会計基準の徹底や事業支出の管理などやることがあるはず。支部、地域会の事務量が増える方向では困る。
C組織改革について
若年会員の組織運営参加を図ることに関連して、リフレッシュセミナーの再開を要望する声が複数。
支部長が副会長も兼任し、委員長まで兼任するのがよいのか、よく考えてほしい。
4.UIA特別会費の件
支部長会議での討議の結果を伊平関東甲信越支部長がまとめた案を提出。会員全員から薄く集める支援金と、事務所単位や賛助会などから集める寄付金の2本立て案の提案があった。会員全員から集めることは、UIA大会をJIA全体で支えていることの意思表示とできるなど補足説明のあと、協議に移る。以下、主な意見。
どちらにしてもJOBからもっと材料をもらわないと、支部で説明できない。
あとに登録数の増加という難題が待っていることも含め全体像を明示してほしい。
当初のように、お金の集め方は支部に任せてほしい。
経済状況を考え、縮小案を提示してほしい。JOBでスキーム全体を一方的に作るのではなく、一般会員の参加する場面も示してほしい。
現在、JOBの運用資金をJIAから借り出しているようであるが、返済のめどはあるのか。事務局給与の決め方も含め、会計内容の監査が必要である。
2/17のJOBとJIA事務局との調整と、それに基づく、3/11のJOB/JIA調整会議で問題点をはっきりさせたい。
5.資格制度のオープン化
制度設計の段階での変更項目の説明と、建築士会との協議のための方針を野々瀬資格制度実務委員会委員長が、資料に基づいて説明。
改正骨子については、オープン化の範囲以外はあまり問題として取り上げられなかった。総会時には、専兼の別なくオープン化することを目指すとあったが、(読み方によっては、まず専業に対し、いずれ兼業とも読める)支部長会議の前あたりまでは、専業へのオープン化が途中経過ではなく、終着点のような説明がされ議論になったと記憶している。今回は、「最終的には資格の国家制度化するため、専兼別なくオープン化を目指すが、今のところは専業向けのオープン化で一歩進める」と説明された。
意見聴取の中で、出江会長から、専業だけの資格にするような意見が出たのでやや混乱。
オープン化以後の運営組織を第3者機関にせず、JIA内に置くことにも異論もあったが、財政面で困難であるとの説明で、仕方がないかとの方向になった。建築士会との協議は2/25に再開。その際、士会の制度との一本化をしないのかとの意見があったが、交渉ごとなので、相手の動向次第であり、同一化と並立の2本立ての考え方を示し、無理に一本化することはしないとの説明があり、議論は収束した。
私の意見は、暴論かもしれないが、国交省にオーソライズされていないJIAがいくらがんばっても、国家資格になることはあり得ない。JIAの中だけで論議しているだけでは何の役にも立たたないし、会員であることだけで資格はいらない。しかし、この資格を作ることによって、何を訴えたかったのかを出発点にかえって考えると、オープン化は日本の建築設計の資格に足らないものを、国交省はじめ国民にアピールするために必要である、ということであった。最近の議論は目的よりも、細部ばかりを取り上げているように感じる。
創設の意義は、日本の資格を国際基準ともいえるUIA基準にのっとったものにすることによって、日本の資格に足らないところ(継続職能研修や実務訓練などいくつかあると思う)を浮き上がらせることだと思う。姉歯事件をきっかけに、訴える方向に近い方向へ士法改正がされ、その過程で「統括」の問題が浮き上がり、実現には至らなかった。その「統括」の問題を士会と討議することによって、近い将来の士法再改正につながればと考える。UIA基準に則した基準である「建築家資格」を持ってUIA大会に臨み、現制度との違いや日本の特殊性を議論できればよいのではないか。
今回の資料の最初に「UIA基準に則した」資格であることが再度うたわれたことや、士会とは「統括」について議論することが明確になったことを評価している。   
2009年度 会長方針(案)     出江 寛   2009年2月16日
日本建築家協会は、公益性と独立性を堅持する建築家の団体として常に社会・市民の利益を守り「持続可能な社会」と「美しく安心な街づくり」を推進する第三者性の高い公益団体を目指す。
1.設計業務環境改善
・ 「確認時の設計契約書添付義務付け」と「行政による低額発注の根絶」にむけて、地方自治体への全国運動を展開する。
・ダンピング防止と設計報酬の適正化に向けて公正取引委員会との協議を開始する。
2.建築家資格制度
・ 設計者の「建築家としての資質」と「独立性」を重視したオープン化とする。
・「建築家資格制度のオープン化」と「統括設計専門資格の法制化」に向けて、他団体との協議を密に進める。
3.建築基本法
・ 「建築が文化・芸術であり公益的社会資産であること」「建築の公益性を担保するためには設計者の独立性が必要なこと」を盛り込む運動を開始する。
4.UIA東京大会
・ モダニズムと決別し、「建築の新たな規範と哲学」を宣言する大会を目指す。
・ 昨今の経済情勢を踏まえ、経済的リスクの少ない計画による実現を目指す。
5.財政改革
・ 「組織・運営の簡素化」「事業収支の赤字解消」を軸とした財政再建を推進する。
・ IT・OA 化による管理会計月次報告に基づき、正確な予算執行を理事会が行う。
6.組織改革
・ 地域活動をJIAの基盤とし、地域社会の要請に対応できる組織改革を進める。
・ 活力・柔軟性・再生力を高めるために、若年会員の組織運営参加を図る。
7.新法人制度
・ 会計統合の成果を踏まえ、公益法人か、一般社団法人とするかの道筋をつける。