市民に開かれた活動をめざす

岐阜地域会会長 岡田 典久
 JIAマガジン5月号の出江次期会長へのインタビュー「今後の政策とJIAの方向性」を期待をこめて拝読しました。すべての根本理念は「設計業務環境の改革」にあると力強く断言されるその口調は、関西弁のまろやかな雰囲気に包まれ説得力があり、JIA会員の多くも異論をはさむ余地はないと思います。巷の設計料の無償化を防ぐ手立てとして、とりあえず関連他団体とも連携した設計契約の法制化を国交省に働きかけることなど、地域会レベルでも支部と連携した県・市町村への陳情として協力することが可能だと思います。
 「衣食足りて礼節を知る」の諺どおり、JIAの崇高な職業倫理を会員が自覚し誇りと情熱を失わないで、それぞれの業務に立ち向かうためにも、現状には改善すべき問題が山積しています。設計者にとって自虐的行為ともいえる地方自治体の設計料入札や、設計プロポーザル条件での見積書の提示要求など強く是正を求めたいところです。また財政難ゆえの負担軽減からか最近PFI方式が多用され、民間事業者の資金とノウハウを活用するケースも増えてきました。この場合にも基本設計者を先行選定して市民の意見を組み入れ、その後にPFI事業者と行政を交えて実施設計や管理運営を調整・検討すれば良いと思うのですが…?
 いうまでもなく建築業界は社会の基盤産業として、一般社会人の日常生活に大きな影響力をもつ責任ある分野です。耐震偽装に端を発した建築基準法、士法の改正がその後の日本経済界を混乱におとしめた事態を見れば、その影響力は理解されることでしょう。わたくしは常々JIAなどの建築諸団体が必ずしも一般社会に立脚した活動をしていないのではないか、業界内だけの自己満足に終始しているのではないかと物足りなさを感じてきました。今後2年間は出江新会長の情熱に協調して岐阜地域会のみなさんと相談する中で以下の項目を中心に、市民に開かれたJIA活動をめざして社会との接点を少しでも拡大できればと考えています。みなさまのご指導とご協力をよろしくお願いいたします。
○会員増強と会員にとっても魅力のある組織・JIA岐阜地域会をめざす。
○登録建築家と継続職能研修制度(CPD)の実施・拡充。
○他団体(市民団体、NPO、JCなど)と連携した社会活動の模索。
○建築展、講演会、建築塾の市民公開と充実(JIA活動を市民にアピール)。
○会員事務所による建築相談の開設(増改築、耐震、街づくりなど…)。