JIA静岡にとって 正念場の年
静岡地域会会長 大石 郁子
 皆さまには健やかに新年をお迎えのことと思います。
 昨年は、6月末日静岡地方を襲った、気象台始まって以来の激しい雷雨を皮切りに、相次ぐ台風の上陸による風水害、そしていまだに避難生活が続いている新潟中越地震と、日本は天災に魅入られたような1年でした。また国内の政治も経済も、国際的にはイラクも中東も北朝鮮も、先の見えないことばかりを引きずったまま年が改まってしまったような気がします。
 JIAは、新体制発足で「主役はあなた」のスロ−ガンを掲げ、地域会が活動の主体であるとの方針を打ち出しました。一方、会費削減による会費収入の低減に対処するために、2,000名の会員増強を目標に運動を展開してきましたが、いまだ目標半ばにも達せずという状況です。こうした財政的に先行き不透明な中で、さまざまな問題をクリアしながら地域会をどのように運営していくか、今年はJIA静岡にとって正念場だと思います。
 昨年11月に開催した会員全員集会の場では、厳しい現実の中でも会員の自立した力で財政を確保し、事務局を機能させることを基本にして、社会性、公共性のある静岡らしい事業を展開していこう、という前向きな意見が多く出され、大変勇気づけられました。と同時にこうした声にどう応えていくかが、執行部のこれからの大きな課題です。
 さて、「登録建築家制度」を試行開始して1年が経過しました。静岡地域会からは、現在までに33名の方が登録されています。全国に先駆けて独自の資格制度を立ち上げた静岡地域会としては、いささか寂しい数だと思います。これは建築家を社会に認知してもらい、やがては社会制度としていくための運動ですから、まず会員が理解して全員参加することが不可欠だと思います。
 また、こうした運動の最中に起きた低価格入札の件は、全国の会員にとって衝撃的な問題でした。登録建築家は、単に技術的水準を保証するだけの建築士ではなく、倫理観を持った職能人であるはずです。入札によらない設計者選定を各方面に訴え続ける一方、現に存在している入札に応じなければよい、ということもまた現実的ではありません。一人一人が襟を正して対応していかなければ、どんな活動をしても社会から信頼されることは難しいでしょう。
 本年も会員の皆さまのご協力を宜しくお願い申し上げます。