2004年度本部通常総会レポート                     谷村 茂/愛知地域会
 2004年度の通常総会は、定刻より5分程度遅れて高野孝次郎常務の司会のもと始まりました。
 最初に定足数の確認が行われ、出席者98名、委任状出席者1,245名の計1,343名の出席で総会は成立しました。
 ちなみに3月31日時点での会員数は4,426名でした。東海支部からは7名の方が出席されました。
 今年度の総会では特別決議はないのですが、私にとっては2つの関係する本部委員となって関わってきただけに非常に気のもめる総会でした。
 大宇根弘司会長の挨拶で、2年間の任期中にあった大きな活動、すなわち、会員種別、CPD見直し、倫理規定の見直し、そして登録建築家と続く一連の大きな運動の流れを述べられました。その中で印象的だったこととして2年前に会長に就任したときは、年々5%の会員数減少と高齢化現象にあったのが、今年度は退会者より入会者が上回り、ようやく衰退傾向に歯止めがかかったことでした。
 議長団の選任の後、議事録署名人の選任を行い、第1号議案から第8号議案まで盛りたくさんの審議が始まりました
第1号議案 事業報告および収支決算の件
最終的には300万円の黒字ということもあって、会計事務所、監査報告の後、拍手で賛成多数、承認されました。
第2号議案
河野進副会長の説明で始まりましたが、昨年時点では会費6万円が妥当とされてきましたが、3万6千円になった経緯と減額に伴う2,000人の会員増強に質疑が集中しました。私も6万円で良いと思っていただけに同じ思いで聴いていました。結局、若い会員が入会しない現状を見直し、納得はしかねるが支出を制することでとりあえず様子を見よう、という結果になりました。
 また、登録建築家制度では、未登録、非登録会員の違いで混乱し、説明されている河野氏も何回か間違えて話されていたようです。最後に会長から、「いずれにしても3万6千円になって会員が増えなかった場合、その後のことを考えなければいけないが、ここで立ちすくむわけにはいけない」と説明され、賛否を取った結果、反対2名で承認されました。
第3号議案 倫理規定の件
私も同委員会の委員であったため、非常に気になったのは言うまでもありません。とくに時間不足で煮詰め切れなかった部分もあったため、会員の質問には冷や冷やしていました。太田隆信委員長の欠席で急遽横河委員が経緯を説明しました。倫理規定問題に関しては歴代の長老の方々が関わってきただけに、厳しい集中砲火を浴びてしまいました。
 歴代会長がそれぞれ意見を言われましたが、とくに『建築家憲章』は不評で、「会員との関係がわからない」「建築家の定義が述べられていない」「文章が練り上げられていない」「旧家協のコンセプトが無さ過ぎる」「5原則の方がよっぽど良かった」等様々な厳しい意見が出ました。それに対して「技術だけでなく、芸術に関して述べてある新規定の方がはるかにすばらしい」という意見も出されました。一番攻撃された条項は、“今後ガイドラインの補完・改変等に関しては、理事会における審議承認を得て進める”だったようです。
 ある方は「重要事項はJIAの総会ですべて意見を戦わせて決めることが、歴史的伝統だ」と言われました。まったくその通りだと思いますが、数時間の総会では何も決まらないでしょう。それよりも途中のドラフトを出して会員に意見を募っても、あまり意見が出ないことに問題があります。とくにガイドラインに関しては時代の変遷とともに変わっていくことを考えると、その時々の理事会決定で良いようにも思えます。会長の強い意志でこの委員会はできましたが、最後に会長が「登録建築家とのリンクもあり、登録建築家はUIAの倫理規定を翻訳したものではなく、独自の規定でいきたい」という意見を持って賛否にかけられました。反対は3名でしたが、語句の検討、理事会マターを総会マターにするかの付帯事項付で可決されました。
 倫理規定問題で散々時間が費やされ、第4号議案以下は、時間も無いことから比較的スムーズに進みました。
第5号議案である2004年度事業計画の説明の中で「市民を味方にする以外にJIAの建築家の将来はない」「そのための建築家資格制度」という言葉は印象的でしたが、本当にこの言葉どおりになってほしいと思いますが、議論好きのJIA会員が本当に理解しているのでしょうか。事業計画の説明は続き、今後はTV会議の推進、本部固定費の削減、事業の推進等が出されましたが、収益事業が少ないことがJIAの最大の問題でしょう。
 第6号議案の終身会員の件、第7号議案の名誉会員の件、そして第8号議案の役員選任の件は問題なく、拍手で承認され、何とか2004年度総会は終わりました。
 皆様ご苦労様でした。私もほっと胸をなでおろしたことも付け加えます。懇親会も終了後、東海支部で行っているように、大宇根会長と各支部の有志の方十数名を誘って近くで飲みましたが、皆で飲みながらの会は良いよね、という言葉が印象的でした。     (2005.05.29)