CPD(継続職能研修)information
取得率低迷を理由にCPDを会員義務から外す動きに危惧                  本部CPD評議会委員 大石 郁子
 CPDの試行から4年、本格実施して3年目に入りました。当初はプログラムの認定などで会員と評議会との意志の疎通がなかなかうまくいかず、いろいろな批判や不信もありました。本格実施に入り外部評議員として鈴木弁護士が参加され、ボーダーライン上のプログラムについて社会的認知を得られるか否かの判断や、第三者から見た建築家のありようなどをうかがい、また今年度からは士会連合会からも委員の派遣をお願いし、他会との相互乗り入れ上どうしても不可欠な単位の整合などを行ってまいりました。
 しかし、CPDは4年間を通じてずっと、会員の参加意識が低くどうしても取得率が上がらないという大きな問題を抱えています。鈴木弁護士の「欧米では、国から資格を与えられている者はそれなりの地位を保全されているのであるから、それなりの社会還元や研修をすべきであるという思想が浸透しているが、日本ではそういう意識が希薄で、専門職ほど他から縛られたくないという意識が強い」との弁護士会の実情を踏まえての言葉のように、何故強制されて研修をしなければならないのか、というCPD制度そのものに批判的な考えをもたれている方がまだ多くいるのが現状でしょうか。会員自身に職能者としての自覚をもう一度促すしかありません。
 また、自己の単位取得状況の確認や、自主研修の申請結果が迅速に返ってこないことが参加意識を妨げているという声に応えて、CPD情報システムの開発を進めてきましたが、現在テストランを実施中で、この6月から本格的に稼働することになりました。WEB上でインタ−ネットを通して自分の取得状況がリアルタイムに分かるシステムです。
 登録建築家が誕生し、CPDの自己管理の体制も整い、やっと会員の取得意識も高まるのではないかと期待したい今、CPDを会員義務からはずそうとする論議が盛んに行われています。消費者保護を目的として正会員全員の資質を保証する制度として資格制度に先行して始められたCPDが、取得率の低迷を理由にその位置づけが揺らぐ様では、JIAの社会的信頼も揺らぐことになるのではないかと危惧しています。
 4年間評議会の末席で、鬼頭委員長、服部委員長を始め委員の皆さまの真摯で情熱的な議論に参加することができました。私にとってとても大きな勉強になりました。任期を終わるにあたってこのような機会を与えられたことに感謝しています。 2004.04.14
ハードが整備された今、会員各位の職能人としての自認を問う                 東海支部CPD委員会の委員長 鈴木  武
 CPDを本格実施し2年が経過しました。本年度は24単位と一段ハードルが上がり、当委員会では会員の単位取得向上をめざし認定プログラムの開発等を年度の課題としてきました。年度末のCPD参加者データによれば、規定24単位取得会員数は東海支部では25.78%、認定プログラムと自主研修の両方に参加した会員は38.0%とあります。この結果は全国平均を上回るものでCPDの理解度は次第に浸透してきたとはいえ、依然支部におけるCPD未参加者が38%いる現実を見過ごすわけにはいきません。
 プロフェッションなる職能人を自認するとき、およそ過去の業績ではなく、今が問われるべきです。そこに継続職能研修(CPD)の意味があり、社会に対し客観性を証明することが組織の役割といえます。認定プログラムへ積極的に参加し、会を盛り上げ、交流の中で学ぶことの大切さもさることながらCPDの基本は自主研修にあるといえます。大変遅ればせとはいえ、本部CPD評議会で進めてきたCPD情報システム開発(大石郁子委員長)が、この4月より運用開始となり6月頃からは会員が自己の単位取得状況の確認ができるようになる見込みです。同時に自主研修による単位申請も各自のパソコンから本部へ直接入力できるようになり、これまで東海支部を経由した必要がなくなりました。ようやく自己管理体制が整った今、CPDがより一層身近になり取得に拍車がかかることを期待したいと思います。
 CPD委員会の役割はまだまだ終えるわけにはいきません。東海支部から本部CPD評議会へ引き続き委員を派遣し、本部でのリアルタイムな情報を受けとめ各地域会へ反映させること、魅力ある認定プログラムを開発し会員サービスに努め会員全員がCPDにトライできる環境づくりをすること、今後は各地域会レベルで建築士会とのCPD相互乗り入れ調整など、より幅広い活動が期待され、次期へ引継ぐこととなりました。 2004.04.13