理事会レポート
会員要件かそれとも資格更新要件か、CPDの位置づけめぐり議論紛糾    理事・上村貞一郎

第133回理事会報告
日時:2003年12月24日 13:30〜17:30
場所:JIA会館3階セミナー室
議事録署名人の選任 兼松紘一郎、国広ジョージ両氏を指名。議長代行に小倉善明副会長を指名。
会長挨拶の中で韓国のKRIA(大韓建築士会)と調印のため韓国を訪問し歓待を受けた。設計入札、コンペ等について意見交換をもった。

■審議事項
1)KIA(韓国建築家協会)との協定調印承認の件
 小倉副会長よりKIAとの協定を結ぶについて、KRIAとの協定と同一の文面が好ましいのではないかとの提案について討議を行なった。KIA、KRIAそれぞれの考え方、立場を尊重して大意は同一であり、KIAとの協定には必ずしも同一文でなくてもよいとすることに決定した。
2)CPD取得免除承認の件
5名の申請を承認する。
3)委員会構成承認の件
 CPD評議会に士会連合会から峰政克義氏(会員外)の参加が、2011年UIA大会誘致委員長に芦原太郎氏、その他東京大会に関する委員会委員などの承認がされた。
4)JIA新人賞公開審査の件
 10月開催東京大会で公開審査を行なうに伴いその応募資格、応募方法、審査方法などについて案が示された。応募資格として応募までにJIAに入会申請を行なうこと、一時公開審査は30作品を選定して公開審査を行ない、その後二次審査として現地審査を行ない2005年3月下旬に結果が発表予定となる。表彰は2005年5月総会で行なうとの案が示され、あと公開審査の日時の確認を行なうことで承認された。
5)小規模建築工事向け契約書最終案の件
 斎藤孝彦主査より説明があった。住宅工事を念頭に、セカンドオピニオンへの協力業務、建築主の立ち合い業務、平易な表現と簡略化、調査企画業務と設計監理業務を分割、これら業務を同一人が行なうことを前提とし作成、販売するのでぜひ利用をお願いする。承認される。
6)新規入会者、休会者、及び退会者承認の件
 入会22名、退会32名、休会3名の申請を承認。今年度は現在のところ入会が退会を上回っているとの報告があった。
7)協賛・後援名義承認の件
 後援8件、協賛7件の企画運営会議での承認があり、理事会で了承した。
8)2004年度通常総会日程の件
 他団体、会長の日程の都合により5月26日(水)とすることを承認。

■ 協議事項
1)会員要件としてのCPDと資格更新要件としてのCPDについて
 正会員の義務としてCPDがスタートして2年目をむかえたが、その取得率は低迷しており、登録建築家制度の立ち上げにより会員資格要件から資格更新要件へと移行していく状況からCPDの位置の見直しが問われている。2004年総会ではJIA正会員資格要件としてのCPDの義務づけを外すことを議案に提案したいとしてそれについて意見を求められた。これに対し賛否両論の意見が出たが、会員種別の改正に関連して登録建築家以外の正会員に対してCPDの義務を求めるか、また現正会員のCPDの義務とその会員資格をいかにするかが意見の分かれるところであり、時間の都合上、2月の理事会で承認が必要となるため1月9日までに意見を提出することとした。
2)会員および会員種別の改正について
 現在会員にアンケートを求めている。1月10日を提出期日としてその結果を参考にして委員会でまとめ次回理事会に提案したい。

■ 報告事項
1)活動報告
 9月から12月までの活動報告が書面でされた。兼松紘一郎理事からはドコモモの活動報告がされた。ドコモモはモダン・ムーブメントの歴史的・文化的重要性を認識しその成果の記録建築物、環境の保存を訴えるため1988年に設立された国際学術組織である。日本支部では2003年9月にDOCOMOO100選を発表した。
2)支部長会議報告
 理事会では時間の都合上省略されたが、簡単に主要事項を記載する。
@ 支部活動としての資格、QBS、社会活動、CPDについて報告される。
A 登録建築家の申請状況について報告があった。
B CPD評議会より現状のCPD参加者データ報告があり、単位取得会員46%、規定単位取得会員13.6%、東海支部は単位取得会員56.6%、規定単位取得会員19.25%である。
C 地域助成金が決定した。東海支部からの申請はなかった。
D JIA25年賞に住宅部門8件、一般建築部門31件の応募があった。
E QBS審査員リストが報告された。
F 会費納入状況について現在、昨年度の状況とほぼ同程度で推移している。
G 2003年度リフレッシュセミナーを2004年3月7日〜9日に開催する。

■ 協議事項
1)2004年度名誉会員推薦について支部推選を4名程度にしたい。1月24日までに推薦をお願いしたい。
2)登録建築家制度が始まり実務訓練の実施を来年度6月以降に全国展開をしたいので支部での検討をお願いする。
3)登録建築家に関する報告(支部別申請状況、認定基準について)
 登録建築家認定審査に関する審査基準についてのその基準が示された。細則8条1に基づく審査・認定については基準どおりに進められそうであるが、細則8条2に基づく審査・認定には建築士資格をもたないものに対し法的矛盾とその差異、責任体制、社会的認知度、実務実態など判断が難しいので慎重に審議をする必要がある。認定判定は本部評議会の主管事項とする報告があった。
4) 理事選挙最終結果の報告
 本年度、支部長、本部理事候補が決まったと報告された。会長に小倉善明氏、東海支部長に本田伸太郎氏、東海支部選出理事に相坂幸彦氏が登録された。
5) アルカシアの報告
 第24回アジア建築評議会(ARCASIA)が2003年12月8、9日バングラデッシュ・ダッカ市で開催された。その議事録が国広氏より報告された。
6) UIAヴァリデーション委員会の報告
 UNESCO UIA建築教育認定システム評議会が2003年10月9日、UIA HEAD QUARTERで開催され、古谷誠章氏が出席、日本の新しい認証機構(JABEE)について概略の紹介を別紙資料で行なった。技術者教育の枠組みの中にある状況を説明、これを今後日本の固有のシステムとして確立したい旨を述べたいと報告。
7) 倫理規定改訂の提案
 谷村茂委員より改訂案の説明があり2月10日までに意見を提出することになった。
8)「景観緑三法」「美しい国づくり政策大綱」の関する意見表明(案)および「公共建築の設計者選定方法の改善についての提言」の報告
 法、政策大綱に対して建設コンサルタント協会とともに意見表明をしたい。専門家(設計者)の位置付けと正しい選定方式への改革を提議したい。
9)業務委員会アンケート結果報告
 アンケートの結果が業務委員長林雄嗣氏より報告された。予想したとおり建築家の業務と報酬に1206号とは大きなギャップがあり、また業務内容でもサービス、設計変更を無償で契約以外のものを課せられるなど、多くの困難と課題を持っており、公共、民間に関わらず建築家の職能・人格を貶めている。問題解決に向けて新しい社会のシステムを実現するために客観性、信頼性のある第三者機構を作り上げることなどが求められる。今後のJIA活動の重要指針となるであろう。
10)UIAPPCのガイドライン業務の形態について
 和智信二郎UIAPPC委員より業務の形態に関するUIA協定に対する推奨ガイドラインの説明があった。
 基本的な業務形態としては@個人経営、A無限責任パートナーシップ、B無限責任法人、C有限責任法人、D有限責任パートナーシップ、E株式会社がある。その他特殊な業務形態や、その他の業務形態が考えられる。
 建築家が選択できる業務形態の構造とともに、さまざまなベーシックな業務形態を明らかにすることを意図している。建築家の自立と責任がすべての項目に基本的条件である。