登録建築家資格制度を軌道に
新しき出で立ちに向けて
東海支部長・理事      
     上 村 貞一郎

新年あけましたおめでとうございます。
 昨年はアメリカのイラク侵攻に始まり、混乱が続くうちに新年を迎えてしまいました。自主独立を願うことは人類の根源的要求であります。わが国の政治、経済も混迷の域をいまだに脱出することが期待できない状況です。社会はこの閉塞的な状況を是認しながらも、新しく地道に健全な生活を築きあげていこうとしているのではないでしょうか。そこから何か自立した文化の創造の芽生えを感じていきたいと思っています。
 さてJIAは昨年12月から登録建築家の受付が始まり、認定制度が今年から行なわれます。1世紀余にもわたり建築家の職能確立を目指し、戦ってきた諸先輩の礎の上にようやく一つの形として、社会に表明することができる制度かと思います。しかしまだまだこの制度には解決すべき諸課題があり、社会的認知はこれからが幕開けであります。まずは会員諸氏の登録に対する理解と協力が2年余の間に必要となります。この制度が建築家のためでなく社会に対しての義務責務を果たすための明示であり、建築、街づくり、将来の若き建築家への社会的認知のなかで、よりよい環境づくりに向けたものであることを願っています。
 この登録建築家制度の発足とともに今、JIAは大きな変化に直面しております。一つは会員資格の見直しであり、もう一つは会費の大幅な減額と会員勢力の拡大を視野にいれて、将来の登録建築家制度が社会的理解を得、国家資格へと導きたいとの基本的な考えであります。登録建築家制度の目的がそのようであっても現在活動している会員は、今何をめざし、行動していくか現状を踏まえながら、日常の業務において地道に誠実に希望をもって建築家として、ともにJIA活動を行なっていく責務がありましょう。
 東海支部はこれまで地域会活動を中心に地域との関係を重視して活動を行なってまいりました。厳しい財務条件のなか支部の活動に今後何らかの見直しを考えなくてはならない現実になってまいります。会員の皆様の英知と、活動に今まで以上のお願いをしていかなくなくてはなりません。JIAの自由と自主独立性をもって、闊達な議論の展開と行動を興そうではありませんか。本年もよろしくお願いいたします。