登録建築家の結実に向け不断の努力を期待
静岡地域会会長
       大 石 郁 子

 明けましておめでとうございます。
 2003年は、人類の叡智がどこかへ置き忘れられたように、国際的には戦争、テロ、国内では子どもの虐待、未成年者等の驚くべき犯罪の横行と厭なニュ−スばかりが目に付く1年でした。わずかな明るさといえば、経済が好転しているという政府の発表ぐらいですが、私どもにはあまり実感が湧きません。2004年はもう少し明るい年にしたいものと願わずにはいられません。
 昨年静岡地域会は、組織財政に係わる改革策を柱に、活動の目線は常に市民の方向に向けるという方針で事業を行なってまいりました。12月に開催した建築フェアを第1回の「JIA静岡建築文化振興基金助成事業」とし、工業高校、専門学校の生徒たちとのコラボレ−ション展示、会員による住まいづくりセミナー、渡辺誠氏による建築家講演会の3本の企画で開催し、アーキスクールは第1回出前講座として、高校生に永年建築に携わってきた会員の生の声を聞いてもらうなど有意義な事業が展開できたと思います。しかし一方、関連団体との連携や負担金問題に関しては、関係行政等への提言や意見交換などを行ないながらもなかなか思うように進まないのが実情です。またいつもながら、地区会のあり方を今後どうしていくかは大きな問題として残されています。
さて、JIAは試行にせよ、永年の悲願であった建築家資格制度を、昨年末全国的に開始しました。これを本来の目標に近づけるためには、より多くの会員がこの制度に賛同して登録することにかかっています。
70万人とも90万人ともいわれている建築士の中で、実際に建築設計事務所で設計監理の仕事に携わっているものは5〜6万人といわれています。その中でJIAの会員が5千人弱、すべての会員が登録建築家になってもそれで何ができるのか、と悲観的にならず、一粒の種でも成長すれば花を咲かせ多くの実を結ぶことができるのですから、建築家を目指すわれわれの後輩たちのために、もっと働きやすく、社会に信頼されて仕事ができる環境を構築していく努力をしていくことが、今の私たちの責務であると思います。
今年もJIA静岡の活動にご協力の程よろしくお願い申し上げます。