理 事 会 レ ポ ー ト  登録建築家資格制度ようやく発足へ  理事 上村貞一郎

◎第132回理事会報告
日時 2003年9月24日(水) 13:30〜17:00
場所 JIA会館3階セミナールーム
 議長に橋本修英副会長、議事録署名人に下村憲一理事、若松信行理事を指名。
 議事に入る前に、芦原義信氏が本日午前6時に死去されたとの報告があり、哀悼の意を表明する。

■報告事項
@7月以降の活動報告があり、その中で次年度役員選挙について近畿支部では二人の立候補があり、支部長選挙が行なわれること。理事に立候補がなく再公募される。関東甲信越支部では小倉善明理事の会長立候補につき、理事辞任に伴い理事の補欠選挙が行なわれるとの報告があった。その他の支部においては定数を満たしており選挙は行なわない。
 会員種別等特別委員会より、会員種別の一元化には定款の改正が伴うと考えられる。今後、登録建築家に登録する会員、登録を行なわない会員、公務員、教職などの会員など今後の会員の状況はさまざまであり、また会費見直しについては、現状維持に必要な2億7000万円の運営費を基準に考えたうえで、正会員の年会費を6万円に均等する案は影響の大きい1,600名の一般会員から理解が得られていない状況であり、現在、正会員一律6万円案、会員倍増計画による3万6千円案があるが検討を重ねている。今後のスケジュールとして来年総会までには何らかの結論をみたいと考えている。
A支部長会議報告(後述)
B建築家資格制度について 9月1日付け建築家資格制度に関する細則の書面採決について、賛成18、反対1で承認されたと報告があった。
 近畿支部登録建築家制度の残余金265万円をJIA資格制度の運営費として取り扱うことを承認する。
 近畿支部登録建築家の審査料免除について、すでに審査書類などができており審査の実質手間が省けるよう審査料の免除を認めることについて了承された。続いて静岡のプロアーキテクト制度も同様に取り計らっていただきたいと申し出る。内容を調査のうえ次期理事会にて再度検討することとなった。
 建築家資格制度実務委員会の構成、本部、各支部認定評議会の構成について報告があり、認定評議議長に建築家槇文彦氏に決まったと報告された。
 会員向けリーフレットが作成された。入会申込書の改定案が説明され、推薦人の印を不要とし、実績経歴などは登録建築家のポートフォリオの利用ができるようにしたいとの説明があった。
■審議事項
 CPDの細則改訂について、社内研修を考慮にいれ公開の原則を一部緩和することが提案され承認された。ちなみにAIAでは23%の事務所がプロバイダーになっているとのこと。また大会など参加者についてもボーナス点を考慮することを今後検討されることとなった。
 建築士会とのCPD相乗りは、相互の内容、運営、単位などの違いがあり、乗りにくいとの報告があった。
 CPDの免除が丹下健三氏を始め27名が提出され承認された。
 昨年の沖縄大会にKIA、KIRAの会長が出席しそれぞれ先方から協定を結ぶことが提案され、その後の経過が報告された。韓国ではFIKA(建築関係団体連合会)が7月に発足、JIAはFIKAとの協定を希望したが、KIRAからは単独の協定調印を望まれ、KIAにその旨を報告、KIAもJIAとの単独協定を検討するとの連絡があり、KIRAと協定の調印を10月10日滋賀大会で行ないたいと報告があり承認された。
 委員会承認としてアーカイヴス検討委員会、全国学生卒業設計展実行委員会の設置について承認された。
 20名の入会と19名の退会、2名の休会が承認された。退会者は、高齢による方、事務所運営の困難、退職などの理由がめだつ。
■協議事項
 2011年のUIA大会東京誘致について提案があり、日本誘致については承認されたが、誘致都市については次回理事懇談会にて再度討議することとした。
■報告事項
 大宇根弘司会長より設計者選定に関する会員向けアピール文書についての意見を今月中に提出することの依頼があった。
 本誌機関紙『建築家 ARCHITECTS』の2004年度編集方針は都市をテーマに建築を考えていくとの方針が報告された。現在6,000部の発行部数で4,700部が会員に、1,300部がその他となっている。月に12部程度の販売と数部の定期購入があるが、今後は書店販売にも力を入れアピールしていく。
 10月のユネスコUIAリージョン会議開催のスケジュール報告があり、その一つとしてUIA副会長ルイズ・コックス女史の講演会「UNESCO UIA建築教育認定の意義と最近の動向」開催についての参加の依頼があった。
 その他日中経済討論会の開催と参加の要望、2003年JIA環境建築賞受賞者決定の報告があった。
■支部長会議
 理事会に先立ち開催された。会員、会費種別について討議された。企画運営会議と会員種別等特別委員会の合同会議が開催され、JIA会員と登録建築家の関係について、正会員(登録建築家会員)と専門会員(構造、設備、インテリア、ランドスケープなど)、準会員(登録建築家を目指す人)、その他協力会員、賛助会員が考えられるが、今後整理していく必要があり、また定款改正を行なう必要も考慮しなくてはならないだろう。それにはスケジュールを検討する必要があるなどの報告、討議をもった。
 QBSの普及について冊子ができつつあり、審査員の候補を各支部で推薦していただきたい。社会に認められる方式をとっていく必要がある。
 建築家資格制度に際しての確認事項が報告された。
 資格制度に関する2会協議会の報告として、双方の進捗状況につき情報交換が行なわれ、その中でとくにJIA側として指摘を行なった。年内に試行を取り込む4士会(東京、大阪、静岡、栃木)については、試行ではなく先行としている点、認定制度とは言わず表示制度としている点(合意内容とは異なる)、認定書の不備などについて2会合意書の精神に基づき対処するよう申し入れたと報告された。
 オープンデスクについて登録事務所151、募集人数682+α、応募人数916名、受入人数706名と報告があった。
 CPD単位取得会員数については現在36%が取得している。
 入札に関する討議が行なわれ、入札に寄らない設計者選定方式の推進を求めていく方針が話し合われた。私見としてこの問題は40年来の問題であり、設計者がこれに参加しないことが前提である。とくに有力事務所が参加を拒否し社会問題として提起し、建築とは何かを社会に問うていかなくては無くすことができないのではないか。大変な体力のいることで覚悟が必要であると意見を述べた。
 この設計者選定の問題は、今後のJIAの取り組む重要な課題の一つであろう。単にこの問題を取り上げても社会的に納得させ得るものではない。建築が生活に欠かすことのできない精神性や心の問題との関わりを、社会に向け説明し理解を得ていく必要があろう。