理事会レポート
2008年UIA束京大会誘致に向けベルリン大会への参加を要請              理事 鈴木 武
◎第124回理事会 2002年5月31目(金) 10:35〜11:50
本年度最後の理事会、冒頭村尾成文会長より2期4年の任期をまっとうできこの間の協力に対して感謝の意が述べられた。昨年12月の理事会において内定した大宇根弘司会長予定者には、新年度事業計画の作成、各支部総会への出席と大変な尽力をいただいた。事業計画は新役員がつくるべき、との自身の信念を貫くことができたことなどに触れたあいさつがされた。
 今理事会は報告事項10件。審議事項3件であった。
■報告事項    報告者 中田亨専務理事
・AIA大会が5月9日〜11日に米国ジャーロット市で開かれ、会長代理として小倉善明副会長ほか2名が出席した。また恒例のJIA・AIA会議では、とくに2008年UIA大会東京誘致の支持が確認された。またAIAのニューヨーク支部会長からWTCメモリアル基金へのJIA会員の寄付に対し感謝状が贈られ、席上紹介された。
・ASA(タイ王立建築家協会)の大会が4月24日に開かれ小倉善明副会長と国広ジョージ国際委員が出席した。JIAも支援していたARCASIA大学のブロジェクトが中止になったことが報告された。2008年UIA大会東京誘致および岩村和夫会員のUIA理事立侯補への支持が確認された。
・2008年UIA大会開催地が決定されるベルリン大会・総会は7月22日〜26日(大会)、27日〜29日(総会)と目前に迫った。立侯補の届け出は、トリノ(イタリア)、セビリア(スペイン)、釜山(韓国)、東京(日本)の4都市から出されている。これまでJIAは東京大会誘致について各国への要請や状況把握に努めてきた。現在のところ、2008年はヨーロッパではなく韓国と日本が有利とみられている。韓国は今年2月のUIA理事会以後、精力的に各国にむけて誘致キャンペーンを展開しており、東京誘致の成功は予断を許さない状況である。JIAも最後のツメとなるベルリンでのアピールを強力に行なう方針で、大会・総会期間中にパーティーを3回開き、各国代表に訴えることとしている。1回目は7月23日夜、駐独日本大使主催の大使公邸でのパーティー、2回目は7月27日東京都主催による総会会場での昼食会、3回目は7月28日夜JIA主催によるソニービルでのレセプションを計画している。この日程に合わせて、できるだけ多くの会員が大会に参加することを要望した。また大会期間中に行なわれるCommunicating Architecture展に会員の建築作品パネルヘの積極的な出展参加を各支部に要請した。
・建築設計資格制度調査会のAPECアーキテクトに関する第1回目の正式な運営委員会が、6月13日〜14日オーストラリア・シドニーで開かれる。今後約6ヵ月ごとに5回の運営委員会が予定されている。6月の運営委員会にはJIAから和智信二郎会員が出席するほか、国土交通省、建築技術教育普及センター、士会連合会、BCSからもそれぞれ代表が参加する予定。
・毎年JIAが窓口となって推薦者の選考を行なっている文化庁の海外芸術家招へい研修については、今年はタイとフランスから各1名の招へいが決まった。また日本から海外へ派遣する在外研修員についても、JIAから推薦したなかから8名が選ばれ、5月15日付で文化庁から通知が届いた。
・日本建築学会より「京都の都市景観の再生に関する提言」(7つの提言)を行なうにあたって、JIAの賛同を求めてきた。JIAは地元京都地域会および、都市づくり街づくり推進会議の意見を聞いたうえで賛同する旨を回答した。都市景観問題は京都に限らず、広く全国各都市で取り組むべきとの付帯意見を述べている。また村尾会長は京都の都市景観問題は学会が学術的な立場からの提言にまかせるだけでなく、JIAの会員が緊急の課題として自ら取り組むべき課題だとした。
・JIA新人賞中間報告5月24日審査委員会が開かれ、応募45作品の中から、6作品が第1次審査を通過し、現地審査の対象として選定された。
・JIA基本政策会議報告書が『JIANEWS』7月15日発行、増刊166号としてまとめられた。2002年通常総会後の会員懇談会で報告するにあたり、理事会の賛同を得ておきたいということで、基本政策会議村尾成文委員長が総括報告をした。
■審議事項
1. 会員動向の件
休会者11名、退会者63名を承認。なお入会希望者は、新年度理事会へ付託した。
2. 2002年度通常総会議案書の件
第1号議案から第8号議案までの上程を承認した。
3. 総会白紙委任状の受託者決定の件
白紙委任1,038は村尾成文会長を受託者と全員一致で決定した。また印鑑のない委任状37は無効と確認した。会員数4,784名(休会者を除く)総会成立の定足数1/5(957)を上回り、総会が成立したことが高野孝次郎事務局長より報告された。
◎臨時理事会 2002年5月31目(金) 12:00〜12:40
■審議事項10件
1. 副会長選任の件
小倉善明、河野進、内藤廣、坂本克也の順位で副会長4氏を選任した。
2. 支部長選任の件
10支部、支部長を選任した。
3. 専務理事選任の件
中田亨専務理事任期満了に伴い、再任を承認した。任期は定款上2カ年であるが、後任予定者柳澤璋忠会員が就任する直前の2002年8月末日に辞任するとの説明があった。
4. 参与選任の件
柳澤璋忠会員を参与に選任した。任期は2002年5月理事退任後、専務理事就任までの期間とする。
5. 企画運営会議委員の指名の件
会長、副会長、専務理事、柳澤参与、国広ジョージ広報委員長、山口洋一郎神奈川地域会会長の9名を指名承認した。
6. 2002年度委員会・部会構成の件
できるだけ整備統合し、わかりやすく再編する。新設特別委員会は期間限定とし結論、答申を求める。会長をサポートする副会長の執行体制、役割分担を明確化し、委員会委員長を兼務するなどの基本方針が承認された。
7. 支部長会議の開催
2002年度より月例開催を承認した。それに伴って従来の企画運営会議の役割の一部を受け持ち役割を重視することとなった。
8. 継続職能研修(CPD)細則の件
通常総会において継続職能研修(CPD)規則の承認を受けて、細則の整備が必要となる。前任理事会で承認を受けているが、本日の総会へ提案する案文として再確認した。
◎2002年通常総会 2002年5月31目(金) 13:30〜16:30
 村尾成文会長は開会のあいさつの中で、激変の4年間、会員の協力に感謝を述べるとともに“美しく豊かな建築界の成熟に向けて”と題してスピーチを行ない退任のあいさつとした。
第1号議案から第8号議案が賛成多数で採決され、第2号議案、第3号議案、第5号議案は挙手により採決された。
2008年UIA大会東京誘致はいよいよ最終段階を迎えた。誘致に伴う資金計画は国際交流基金による米国債からの利子を充当するという資金計画ができたが、激しい誘致合戦を受け、それだけでは勝てないかもしれないという前回の北京大会での反省から、基金の一部元金の充当も想定したかなり踏み込んだ資金運用が議決された。
 2002年度はJIA創立15周年の節目を迎える。この節目に落ち込んだ会勢に歯止めをかけようと、若手の積極的入会を期待して1年間を限定に入会金を36,000円から6,000円に減額を決めた。そんな姑息な手段をと嘆く声もあるが、会員増強特別委員会が1年かけて打ち出した方針をひとまず実行してみるしかない。何としても具体的成果を挙げてほしいと思う。
 大宇根弘司新会長は“JIAを変えよう"と力強く、誠実に所信を表明した。4〜5月の間、7支部の総会に出席した大宇根会長の感想より
 @会勢の衰え一JIAを支える原点の再確認で志を同じくする人の参集で、連帯の上に友情と信頼を築きたい。
 A建築家資格とCPD一社会はわれわれをかなり厳しく見ている。CPDは会員の要件を担保するものである。
 B2008年UIA大会東京誘致の意味を再確認し、そのためには負担もあり得ること。
 BJIA2002沖縄大会を1,000人規模で成功させ交流と議論の場にしよう、
 と4点について触れながら、現状認識の上に運動方針、活動方針が築かれていることを説明した。JIA執行部も大幅に若返り、期待を持って総会は終了した。
私も2年間本部理事を務めさせていただき、多くの人との出会いの機会をいただいたことに心より感謝いたします。本稿をもって役目を終らせていただきます。ご協力ありがとうございました。