2003年までの文章は雑誌からスキャニングして作成しておりますので、誤字がありましたら申し訳ありません。

都市寸景 109
中濃路散策 最終回〜岐阜県関市
文・写真 岐阜地域会/塚原進
 「関市」は濃尾平野の北端にあり、岐阜県のほぼ真ん中に位置する「刃物の町」である。名刀「関の孫六」の伝統を受け継いで700年余りもの長い歴史を守り続けてきた刃物。「西のゾーリンゲン」「東の関」といわれるほどに、関市は国際的なスケールの刃物の産地として知られる。毎年10月の第2土・日曜日に開催される「刃物まつり」では古式日本刀鍛練等刃物の町ならではのイベントが催される。
市役所前のストーンモニュメント
@新長谷寺(吉田観音) A宗体寺(関善光寺) B関市産業振興センター
新長谷寺は通称「吉田観音」と呼ばれ昔から諸願成就の祈祷寺として知られ、県内外から参詣者が絶えない真言宗の寺である。鎌倉時代に七堂伽藍と十六坊を具備する大寺として創建されたことが伝えられている。現在では室町時代に建立された本堂、三重の塔をはじめ、多くの堂および彫刻が国の重要文化財に指定され、七堂伽藍を配する寺として県内唯一の貴重な寺である。 宗体寺のある安桜山からは旧市街が望でき、アルキニストの散策コースにもなっている。高い石垣の上に建っ本堂は信州の善光寺本堂にそっくりの造りであり、日本で唯一の卍戒壇があることでも有名である。 刃物産業の振興と関伝日本刀鍛練技術の保存を目的としたこの施設は、技能師の実演場や日本刀鍛練場を完備。古式日本刀鍛練の一般公開を行なうほか、刀剣および刃物資料が展示されている。
C市役所庁舎・前面広場 D関市生涯学習センター E蛍川
数年前に旧市街から安桜山の裏側にあたる田園地帯に移転新築された関市役所庁舎。前面に市民広場が併設されていて、周囲には欅・楠などの樹木が多く植えられており、田園地帯の中に新しい都市風景を創り出している。 市役所の西側敷地に隣接して計画された複合施設である。先に建設された市役所庁舎に外観の形態、色調、外構などを調和させて全体的な統一感をつくり出している。現在、あたり一面のコスモス畑が満開。 市役所と生涯学習センターの間にある用水路が蛍川である。一連の計画をするにあたり、以前からある農業用水路を環境に配慮してビオトープにしたものである。今では毎年6月になると蛍が飛びかうような植生空間に育っており、蛍川と命名されている。