2003年までの文章は雑誌からスキャニングして作成しておりますので、誤字がありましたら申し訳ありません。

都市寸景 107
中濃路散策 その2〜岐阜県郡上郡八幡町
文・写真 岐阜地域会/塚原進
「郡上八幡」は、岐阜県のほぼ真ん中を流れる長良川を北上し、山間に入った小さな町である。
@安養寺 A郡上八幡城 Bやなか水のこみち
八幡城の上り口近くに遠郷山安養寺がある。毎年6月になると、郡上八幡大寄席が開かれる。また、石山合戦文書など多くの由緒ある寺宝が展示されている 郡上八幡城と安養寺の間には、城山遊歩道が敷かれている。長くて急な坂道だが、自然が多く残っている。八幡城は別名積翠城ともいわれ、遠藤盛数が戦国時代末期に築城した。以後、遠藤、稲葉、井上、金森、青山と城主は代わっているが、四百年の歴史が続いている。現在の天守閣とつけやぐらは、1933年(昭和8)に木造で再建されたものである。 新町通り・格子造りの斎藤美術館とおもだか家民芸館の間の路地を南へ入ると、そこが「やなか水のこみち」である。地元長良川の玉石を曲線模様に敷き並べたこみちは、亀の水飲み場、朱色の欄干の小橋などを配した用水路と、柳などの緑、両側民家の下見板張りの壁面などの構成により、絶妙の路地空間を形づくっている。「やなか水のこみち」は、象設計集団の作と聞くが、東京世田谷美術館への「いらかのこみち」と共通したデザイン手法でつくられた労作である。
C旧八幡町役場 D吉田川にかかる新橋 E旧林病院
1936年(昭和11)築造の木造トラス構法を採用した建物である。昨年7月に郡上八幡旧庁舎記念館として再建し、現在公開されている。玄関前には水の町郡上八幡らしく水飲み場などが設けられている。 旧庁舎のウッドデッキから町の中心を流れる吉田川と新橋を望んだ風景である。川と町との関係性がわかるカットである。 1901年(明治34)に地元の大工の手によって本館棟が完成された。建物を保存活用するため町に寄贈されたことから、これから建物に少し手を入れて展示館として生まれかわる予定である。