2003年までの文章は雑誌からスキャニングして作成しておりますので、誤字がありましたら申し訳ありません。

都市寸景 106
中濃路散策 その2〜岐阜県郡上郡八幡町
文・写真 岐阜地域会/塚原進
「郡上八幡」は、岐阜県のほぼ真ん中を流れる長良川を北上し、山間に入った小さな町である。 昔から「水と踊りの町」といわれている郡上八幡は、町の中央を吉田川が流れ、町の中のいたるところに水路があり清流が流れている。自然の美しさもさることながら、しっとりとした城下町の町並みも大切に保存されている。夏になると、静かなこの町を舞台にして、日本三大民謡踊りのひとつである郡上踊りで町がわきあがる。
@宗砥水 A宗祇水へ通じる石畳 B肉桂玉の桜間見屋
室町時代(1471年)の故事・郡上領主東常縁と連歌の宗匠飯尾宗祇の古今伝授にまつわる名泉。
江戸時代のはじめに整備され、往時の姿を今に伝えている。1985年(昭和60)環境庁の第1回名水百選に指定されている。宗祇水は水の町郡上八幡のシンボルでもある。
流れる水は、五層の段槽をへて小駄良川にそそぎ、そこからすぐ吉田川・長良川へと合流する。段槽は、上段から順に水源、飲料水、米などの洗い場、野菜などの洗い場、さらし場と設定されており、今日でも住民の生活の水として利用されている
本町筋から桜間見屋の辻を西へ入ると宗砥水へ通じる石畳の坂道がある。歩くことが心地よい、ヒューマンスケールの散策路である。 宗祇水への入口角にある桜間見屋は飴を売る老舗。本町筋の古い町並みを引き締めている。この店の名物は、明治時代からつくられている肉桂玉。ピリッとしたニッキの味は、懐かしくファンも多い。
C北町用水 D職人町 E柳町用水とミニ公園
長敬寺町を流れる北町用水である。道路と塀と植栽と用水路が一体となった空間は見事である。生活の場としての憩いと安らぎとくつろぎのある親水空間をつくり出している。 長敬寺の門前町を形づくっているのが職人町、鍛冶屋町である。木造の防火壁が突き出た空間は、町並みに…定のリズムと統一感をあたえている。軒下には用水が流れており、各戸ごとに吊り下げられた防火バケツがおもしろい。 安養寺前の柳町地区には、美しい水を運ぷ用水がある。地元町内会の町並み保存運動に町が連携して整備した、水の町ならではの柳町用水。車社会の今、狭い城下町で蓋のない水路は、日常生活にも影響を及ぼすが・柳町はそれを受け入れね日常生活の中に水が溶け込んでいる公園がそこにある。